占冠 ネズミ調査 後編
ネズミの調査が主目的だったが、ヒグマに会いたいという期待もあった。
森に入るようになってから11年。いまだに野生のヒグマに出会ったことがない。
知床にいけば!という意見もあるが、野生だけど野生じゃない感じがどうも好きじゃない。
人間の天敵のような存在(語弊のある言い方は十分承知)。畏怖する存在に相対したとき、自分はどんな反応をするのか、ヒグマが発する生命力、、、それが気になってしょうがない。だから会いたい。けど怖い。
この山で見た生き物たちは、身近な生き物たちばかりだが、一味違った雰囲気をだしていた。樹木たちが生き残りをかけた競争がシビアで、その迫力も里山とは一風変わっていた。僕は人が利用することありきの里山ばかりをみている。だけど、こうした人間が入らない、誰にも知られずに命をつなげている森。こうした森も絶対必要で、ずっと残っていければと思う。
ここなら会えると思った。
尾根筋にシラカンバの群生地があり、とても眩しい光景が広がった。
そのカバの根に一個のくぼみがあった。
・・・よくわからない。
1個だけ、足跡のような足跡じゃないような。結局なんだかわからない痕跡。
5本の指があるようにみえるが、見えない感じもする。
結局のところ、足跡?だけの痕跡しか見られず、今回もヒグマには会えなかった。
まぁ、まだまだ機会がある。じっくりと偶然を待つことにする。
最後に、トマムでの川の様子。
台風10号の影響で、南富良野をはじめ、あちこちでこのような悲惨な様子が見られた。
現地の方に話を聞くと、雨が降ると子どもたちが鬱になり、症状が重たい子もいると聞いた。現地のガイドさんたちも、ショックを受けている、と。
・・・心が痛い。