きこりな持論シリーズ1 今のキコリがするべきことと、消費者がするべきこと。
しみずです。
前回の続きを書こうと思ったのですが、本ができそうなボリュームになりそうなので、気が向いたときにこうやって、ちょこちょこと紹介していこうと思います。
内容は、北海道の広葉樹二次林に焦点をあてております。
★なぜ、僕の木を使うことがいいのか。それは、
・地域の暮らしと自然(山)が繋がっていることを知っている山主がいる、山の木だから。
・実感しているからこそ、山の利活用と保全と伝承をしているキコリがいる、山の木だから。
です。
日本には僕に限らずそういう想いと実践をしているキコリが必ずいますから、そういう山・木こりから買う木はいいことなんですよ。と、まずは言っておきます。
が、まぁ、うーん、よくわかりませんよね笑
まず、
木は良いものなんです。なかったら人間が生きられませんから。そういう壮大な意味でも良いものと言えます。
木に興味が全くない人も、絶対に木を使わないと生きていけません。だから良いものなんです。
そして、同じ種類の木なら、そこそこ材質(強度、色合い、木目等)は同じです。
道内で「トドマツみたいに軽いミズナラ」はきっと存在していないはずで、ミズナラなら、だいたいどこのミズナラもわずかな差はありますが、極端な差はない材質だと思います。
「どこ産のミズナラ」っていう表記も大切なんですが、なるべく早く次の意識へ変わる必要があります。
どこの木であれ「木は良い」のですが、今は、「山の管理の質の違い」がではじめています。
極端な話ですが、地域から山がなくなってしまってはどうでしょうか。
僕らは木を使ってしまってよかったのだろうかと、葛藤する人が現れるはずです。
なので、次への意識変化は、「どういう管理がされている山の木」なのかということに注目すべきと考えてます。
嫌な言い方をあえてしますが、日本から林業を消しさる方向なら、この考えは不要だと思います。山のことはどうなったっていいから、とにかくたくさん木を出せという思考でいいなら必要ないということです。そうなれば、僕もこんな余計なこと考えなくてすむ林業ができそうです。
しかし、僕が知る限り、北海道の市町村では、いたるところで「豊かな自然が~」とうたっている以上、北海道はおそらく、ちゃんと次世代に地域の自然を残しながら、地域の産業として成り立っていくことを目指していると思います。
林業を北海道が続けたいと思っているなら、やはりここは、「どういう管理がされている山の木」なのかというキーワードは捨てられないと思います。これは僕が、里山利活用と地域を結びつける一つのキーポイントになると信じているからでもあります。
★皆さんは、「どこの山にお金を投資したいのか」という選択をできる目をもっていくことが、実は地域の林業を支える一つの手法になりえると思います。林業というのは、木を買っていただく皆さんがいないと成り立ちません。
今の時代では、木を伐ることだけが林業ではなく、むしろ、木を伐ることは林業を考える上ではさほど重要ではないですね。
★キコリからは、木の選択肢を、使い方なども一緒に、提案をしていかなければなりません。
きっと難しいことなので、最初はお互いシンプルでいいと思っています。
人間ですから、素人でもプロ目線でも「なんか良い森」「なんかダメ(嫌)な森」という感覚がまずあると思います。
最初は根拠はいらない、感覚からでいいと思います。
なんかいい森からの木を使う。それってなんか良いねって。それだけ。
ここでいう、良い悪いはそれぞれ人の感覚です。正解も不正解もありません。
★1)なんか良い森をまず見せていくことが、きこり側のやること。
★2)消費者は、それをまず見る側から(現地でも写真でも)。考える余裕があれば考えてもいいと思う。
↑写真は里山部の森(家具林)の様子。
実践してよくよく考えていくと、ある程度の山に対して人間がすべきことの正解はでてきますが、それはずっとずっと後の気づき。
だから★1と★2が少しずつ地域で出来てくるといいなって思ってます。
そこをどうやって働きかけていくのか、それは僕もわかりませんが、僕なりに活動はしています。
早くこういう木こりが珍しくない時代になってほしいです。世界に誇れる木との使い方ができる地域になれば、デンマークとかスイスとか、ドイツとか、自然と市民の付き合い方に対して道民が、うらやましがらずにすみますんで笑
とりあえず今回はこの辺で。
今後、持論シリーズで書いていきたいことリスト↓
投げ出す可能性も多いにありますが笑 んで順不同。
- 木を育てるという意識の中身
→寿命、健康、空間、売り先、売る部位、使い手、伐る技術、伐らない思想・・・
- 木を伐る(使う)スピードと木が育つスピード
→約4haという極めて小さな面積でやってみて実感したこと。
- 生物多様性の維持と、歴史的文化価値と、この林業との関係
→1700種の動植物、かつ北海道最大級のカタクリ群落、アイヌの聖地である山での林業はやるべきなのか。コウモリの研究者が木こりをやる意味。 - 地域に育った木の強み。風土の染み込み。輸送エネルギーの消費量。
- 必要最小限の道具でやるメリット・デメリット。
→チェンソー、軽トラ、漢気 - 山を壊さない。山が壊れるってどういうこと。
- キコリから職人へ、顔の見える、山の見える丸太と想いの受け渡し。
- 地域内での山と木の選択。
→木ならなんでもいいという考えは卒業しよう。 - 実は皆さんも、意識ひとつで伐らないきこりなんです。
- 地域で山・森遊びは必要か。
→子どもとの関係、地域住民との関係。メリット・デメリット。できない環境。 - 自分が山を持つべきなのか。続けていくべきなのか。