里山部-satoyama-活動(東鷹栖)

小さな森の山主が始めた個人事業ブログ

林業就業支援地域アドバイザー北海道担当になりました。

令和二年度厚生労働省委託 林業就業支援事業 林業就業支援地域アドバイザー北海道担当のしみずです。

 

 

長っ!言わないと忘れる肩書になりました(笑)※里山部を辞めたわけではありません。

★簡単にいうと、林業の世界に入る人材育成をします。資格がとれます。その就職にかかる支援をします。それも厚生労働省のバックアップつきで。しかも無料で。

 

★市町村に対してメリットはあります。

それぞれの地域で、森林資源を活かしたい、それにかかる人材、地域おこし協力隊等を育てたい、新規募集をしたいと思っている市町村はありませんか。

たとえば、林業者としての地域おこし協力隊を募集し、この制度を利用して育て上げることができます。

 

そういう働きかけをしていく、北海道担当のアドバイザーになりました。

 

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名刺が物語る。堅苦しい感じ(笑)

 

 

●WEBサイトもあります。

kikori-wk.jp

 

上記のサイトからポイントとなる部分を抜粋しながら紹介いたしますね。

 

事業委託団体は株式会社エヌアイエスプラス R&C事業部 

講習実施、地域アドバイザーコーディネート協力団体はNPO法人持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業推進協会

 

 

  • 林業就業支援事業では、林業への就職を希望する方に対して、事前に林業に関する

十分な情報と知識を付与する講習(林業就業支援講習)を実施するとともに、就職相談等の支援を行います。

併せて就職先となる林業事業体の雇用管理の改善を支援する事業(雇用管理研修会や巡回相談等)を一体的に行うことにより、林業の新規就業の促進と職場定着を図り、林業労働力の確保に資することを目的としています。

 

→僕が主に担当するのは、比布町のピップなカバ林、僕が補助を務めるのは池田町、ニセコ町予定です。

 

  • 林業就業支援講習 20日講習のカリキュラムは、

林業就業に係わる基本的な知識

・安全衛生講習

林業作業の実地講習

林業関係施設等の見学

・職業相談、生活相談

 

※場合によっては、その専門の外部講師を 招いて開催しますよー。

 

これにかかる注意事項は、

 

  • 注意事項

・費用について

この講習の受講料は原則無料です。

食費や講習実施会場までの交通費等は、自己負担になります。

・対象年齢について

年齢制限は設けてありません。林業就業に当たり、現場の安全や体力等の就業環境の観点から会社によっては、雇用されない場合があります。詳細は、支援講習の実施機関にご相談ください。

・資格付与について

チェーンソー、刈払機、小型車両系等の資格は支援講習の修了者にのみ付与されます。

・費用補助

この講習の受講料は原則無料です。

また、遠隔地からの講習受講者(途中辞退された方は対象と外になります。)には、受講中の宿泊費について 一泊当たり4,400円(消費税込) を上限に補助します。

ただし、補助となる日数は講習日数を限度とします。

・宿泊費の領収書が必要になります。

・アパート等の賃室業、インターネットカフェ、漫画喫茶等、宿泊費補助に該当しない施設がありますので、実施する機関に相談ください。

 

 

とWEBから抜粋するとここらへんがポイントになります。

 

 

 

ここから個人的な想いを↓

 

地域おこし協力隊×市町村で、小規模林業環境保全林業を進めていくことを加速させてみませんか。森林資源は豊富にあるにも関わらず、暮らしに上手い距離感で落とし込めていない市町村がほとんどだと思います。あの山、この山、もう興味ないですか?もう全部伐っちゃえですか?もう放置してればいい?

これからも地域で若者たちが生きていくんです。その若者たち、いや若者に限らず、その地域の資源を生かしてその地域で生きていきたい人にとって、「山は無視」できない存在です。

それは故郷の素敵な景観を守っていくだけではなく、産業としての木、子どもたちの環境教育としての木、防災として木、そして今僕らがやろうとしている文化、社会を紡ぐための木、などと山の本質は多様にあります。

 

ここを活かしきらないで、北海道の豊な自然は語れません。もったいない。

 

この制度は、林業に力を入れていきたい、もしくは木、自然、をテーマに地域をおこしていきたいという考えの市町村に、僕がやっているこの小さな林業環境保全型の林業、地域独自の林業ともいえる古くて新しい仕事の創出をするのにもってこいです。

 

僕は北海道自伐型林業推進協議会とは別に、この数年で、どこの支援もなしに独自に、「林業をやってみたいんだけど」と相談に来られた方々にアドバイスや協力も行ってきました。本当に真剣に考えている方は、山を買ったり、借りたり、すぐに始めました。中でも初めて僕の山にきた渋谷の花屋さんが、今は木を伐り、作業道を作り、樹上伐採ができるようになり激的な進化を遂げた女性が今は仕事の相棒になりました。

正直、僕が山を増やせば増やすほど、僕は儲かりますが、それだけではいけないんです。

もう僕は次のステップに行くべきと考えました。一人がやるんじゃなくて、みんなでやっていくべきだ。その人たちを育てられるような自分自身のパワーアップが必要だと。

 

・・・多くの方は言うでしょう。経済が伴わなければいけないと。

もちろんそれも大事な一つですが、それがすべてではないんです。やらなきゃきっとわからないでしょう。その木を相手に商売するということ。

伐り方にもセンスがいるのです。やみくもな伐採や国が決めたやり方だからといってどこの地域でも一辺倒なことばかりしていたら、発展するはずもなく、みすぼらしくなり、魅力や、仕事に対する誇り、地域から評価を得られる機会も少なくなってしまいます。

 

今、むかしとは違う、木の見方、森の見方、木の使い方、暮らしの在り方を提案できるキコリが増える必要があります。

 

いろんな相談が僕のところにきます。

ソーラーパネルのために山を削り取らないでほしい。

隣の敷地が皆伐されるのを阻止したい。

  • ●はお金のことしか考えていない、山を大切に扱ってほしい。。。

 

全部、僕が無力なせいで、コメントだけ返して、それらを阻止できずにいます。阻止すべきかどうかは別として、何かそうなる前に、対策できなかったのだろうかと考えています。

 

・・・やはり僕一人では対応しきれない。

地域に山守を増やさなければ。自分の意思を継がなくてもいいが、そこの地域が好きな人が山を持てば、山をめちゃくちゃにするはずがない。木を大切にしてくれる。そんな人を増やさなきゃ。

 

今まで、自分で歩いてみなきゃわからない世界を知ったし、繋がれなかった人ともつながった。この地域一丸のチームワークで、小さいながらも旭川では面白いことになっているのも事実だ。キコリ×民間のコラボの威力は、里山部を知る人なら良く分かっているはずだ。

ここに行政も入るとどうだろう。

僕は最近文字には出さないが、林野庁のやり方にはうんざりしている。ここ数年のうんざりワードは「意欲のあるうんたらかんたら」だ。まぁそれはさておき。

 いつかはどこかで、僕もこっちの関係に少しは入って提言などもしないといけないと思っていたし、いい機会だと思う。

 相当に大変そうだが、こうやって誰かがやらねば、変わっていかない。風太と大地(僕の息子)たちに、俺が生きて作り上げた森、木を誇ってもらうためには。

次の子どもたちが、北海道という壮大な自然の中で、世界に誇れる自然業をやっていなければいけない。シマフクロウやヤマベがいる森から木をいただいてんだよ俺たち。

 彼らにも感謝と敬意を払い、決して邪魔することなく、自分の仕事に誇りがもてるようなかっこいい林業していきたいよね。

それをさ、やっていこうよ。そのために僕はアドバイザーになりました。

 

ここまでが個人的に思っていたところ。

 

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渋谷の相棒

 

以下は冷静に。

 

講習会は、労働安全衛生規則に基づいたテキストを使用します。

僕のテキストにはない様々なテクニックは紹介できません。(そういうのは北海道自伐型推進協議会が主催する自伐塾などでご紹介いたしますので、そちらにもご参加いただければ。)

今回の講習会では、全国一律定められた学科や時間を守り進行します。そういった意味ではオリジナルの部分はありません。

しかし、作業道研修など例年とは違う研修内容もありますので、こうした部分が、山で生きる新しいヒントになるかもしれません。もし林業にはまり、この技術だけではものたりなくなった場合は、里山部に個人的に来ていただき講習をうけていただければと思います。

誤解なきように伝えますが、この林業支援は、自伐や現行林業、その他様々な手法な林業、どこかに肩入れしているわけではありません。林業に就職したいという方を支援する。そこです。どんな林業でもです。僕の個人的な想いは上記に書きましたが、進行に影響はありません。厚生労働省からの委託者としてふるまいます(なんだこれ(笑)。

 

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今年、使用するテキストはこちら。

 

最後に。

今年は僕の山での開催地が決まってしまいましたが、3年間予定しております。僕がへまをしなければ来年、再来年とあと2年か。(笑)

できれば上川管内で僕を呼んでいただければ、そこの市町村でこの林業就業支援事業を実施できます。日本全体でこの予算の総額はわかりませんが、年間1,2件は僕が北海道で担当できると思います。

 ちょっと目をつけている市町村が個人的にあるので、僕からもアプローチしてみます。お話だけでも聞いていただければ。

 

 

池田町では募集開始されておりますが、比布町ニセコ町では現在スケジュール調整中のため募集がされておりません。9月以降の開催予定になりそうです。決定次第おしらせいたします。各地域、参加者は10名までです。

下記は池田町の案内。HPはこちら→https://kikori-wk.jp/schedule/20-2001-2/?fbclid=IwAR3eStTmAha11rMcQ9xTSjDQyeAx3jnXapCfncU7RbpAHXkswNs6fI9sgro

講習会情報

【北海道池田町】林業就業支援講習 20日間コース(2020.8.17~9.1)募集受付開始

コース番号 20-2001
開催都道府県 北海道
開催場所  池田町社会福祉センター(北海道中川郡池田町字西2条7丁目11番地1)   ※実地講習 近隣の山林
開催日 2020年8月17日(月)~9月1日 (火)  ※8月22日(土)、8月28日(金)除く 【開催場所】 
コース種別 20日コース
コース詳細内容

<北海道池田町>林業就業支援講習 20日間コースの募集受付を開始いたしました。
【開催期日】   2020年8月17日(月)~9月1日 (火)
         ※8月22日(土)、8月28日(金)除く
【開催場所】   池田町社会福祉センター(北海道中川郡池田町字西2条7丁目11番地1)
         ※実地講習 近隣の山林
【交  通】   JR根室本線 池田駅から徒歩約15分
【参加資格】   林業への就職を希望する方
【参加費用】   無料(ただし、交通費や食事等は自己負担になります。)
         ・遠隔地からの講習受講終了者には宿泊費補助あり
          (1泊当たり4,400円(消費税込み)を上限に補助。 
           ただし、補助となる日数は講習日数を限度とします。)
【募集人員】   10名

山に1歩、踏み込むときの意識

しみずです。

 

僕は最近、山に1歩入る時、特に道をつける時ですね。

いつもこう思うんです。

 

「まずは林業(山で木を使って食えるようにする)ができるようにする。この森と、この木のファンを増やす。遊ぶのはそのあと」

 

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ピップなカバ林 作業道開始

 これは、いろんな国や道や民間の、森林を利用した、ダメな空間施設を見てきて思ったことでもあります。

簡単にいうと、

 

 飽きたら、ぽい。

 稼げないから、ぽい。

みたいな。なんでこんなお金投資して、こんな森しかできなかったんだよ。ってところ地域にぼちぼちあります。

森の自然力がまだあれば、ぽい、されても復活しますが、そもそもその思考が好きではない。 

 

森を一度いじっておいて、こうなっては無責任極まりない。

 

 

だから、森と人を育成し、地域の資源力を高めるために山守という存在が必要だ。森にそいつがいるだけで、森と、地域と、実は子どもたちにも、有益になる。

たとえ、山を利用しに来た人が、なんらかの理由でその森を見捨てたとしてもそ、山守によってずっと育て、磨き上げられていく。つまり、利用客がいなくなっても、森はダメにならないということだ。木は、絶対に人類が必要とする物資であるから、大きくたくましく育てていることは、それだけその利益が増える。ここに意識のベースを置く。

 

 

コロナの影響で分かったと思うが、観光客が来なくなったら危うい現実。

木の寿命を全うすることに対して阻害すること、うまくは言えないが、無責任に山の林産物を奪取すること、木に傷をつけたこと、その木を伐りひらいて作った空間に対して、きちんと、未来まで責任を負える覚悟があってのことだろうか。

木は、だいたいが、1人の一生より長生きする。

今そこで遊び消費した木材、踏み固めた林床、伐採してしまった大木、穴をあけた木、締め付けた木・・・

人がその一生を終わらせたあと、その森はどうなるのか。

 

ここを開拓した以上、どう地域を豊かにするのか、地域に傷をつけた今、どう何百年先までこの思いを伝承できるのか、形として残していくことができるのか。

 

 

今の時代のように「山は持っているけどお金にならんしなぁ」といって、過去の開拓を見なかったことにするのか。

森は、その人の命が終わったあとも、生き続ける。

地域に生まれた新しい命が目にする光景は、その人の感性と、使命で、出来上がるんだ。そこの風景は。誇れる故郷の風景は。

 だから、誰かがその森の、その木のファンを増やす必要性がある。

それは率先して地域の大地に傷をつけていく山守だ。

 

 

いろんな木こりがいる今。

様々な使命感があふれ、山を守るという意味もたくさんあるが、僕は、地域の故郷の景観をより素敵なものにしたいし、何より、世界最強の強い道産材を生み出すことだ。

 

「あいつが山に入ると安心する」そんなキコリでありたい。

 

 

これから山を使う人、買う人、覚悟をした人に、これは言っておきたい。

「未来を考えた利用と保全をしてほしい。山で金もうけしたいなんて、自分の代なんて、たかが知れているんだから。そこだけではない目線で、きちんと、世界に誇れる山の使い方を意識してほしい。」

山の本質ってなんだろうをずっと意識して入ると、自分が豊かになっていきます。

 

 

 

ここは世界に誇れる樹木の優良育成大国。北海道ですよ。

きこりな持論シリーズ1 今のキコリがするべきことと、消費者がするべきこと。

しみずです。

 

前回の続きを書こうと思ったのですが、本ができそうなボリュームになりそうなので、気が向いたときにこうやって、ちょこちょこと紹介していこうと思います。

内容は、北海道の広葉樹二次林に焦点をあてております。

 

 

★なぜ、僕の木を使うことがいいのか。それは、

・地域の暮らしと自然(山)が繋がっていることを知っている山主がいる、山の木だから。

・実感しているからこそ、山の利活用と保全と伝承をしているキコリがいる、山の木だから。

です。

日本には僕に限らずそういう想いと実践をしているキコリが必ずいますから、そういう山・木こりから買う木はいいことなんですよ。と、まずは言っておきます。

が、まぁ、うーん、よくわかりませんよね笑

 

 

まず、

木は良いものなんです。なかったら人間が生きられませんから。そういう壮大な意味でも良いものと言えます。

木に興味が全くない人も、絶対に木を使わないと生きていけません。だから良いものなんです。

 

そして、同じ種類の木なら、そこそこ材質(強度、色合い、木目等)は同じです。

道内で「トドマツみたいに軽いミズナラ」はきっと存在していないはずで、ミズナラなら、だいたいどこのミズナラもわずかな差はありますが、極端な差はない材質だと思います。

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どこ産だろうが、ナラの材質は関係なく、良いもんは良いんです。

「どこ産のミズナラ」っていう表記も大切なんですが、なるべく早く次の意識へ変わる必要があります。

どこの木であれ「木は良い」のですが、今は、「山の管理の質の違い」がではじめています。

極端な話ですが、地域から山がなくなってしまってはどうでしょうか。

僕らは木を使ってしまってよかったのだろうかと、葛藤する人が現れるはずです。

 

なので、次への意識変化は、「どういう管理がされている山の木」なのかということに注目すべきと考えてます。

 

嫌な言い方をあえてしますが、日本から林業を消しさる方向なら、この考えは不要だと思います。山のことはどうなったっていいから、とにかくたくさん木を出せという思考でいいなら必要ないということです。そうなれば、僕もこんな余計なこと考えなくてすむ林業ができそうです。

 

 

しかし、僕が知る限り、北海道の市町村では、いたるところで「豊かな自然が~」とうたっている以上、北海道はおそらく、ちゃんと次世代に地域の自然を残しながら、地域の産業として成り立っていくことを目指していると思います。

林業を北海道が続けたいと思っているなら、やはりここは、「どういう管理がされている山の木」なのかというキーワードは捨てられないと思います。これは僕が、里山利活用と地域を結びつける一つのキーポイントになると信じているからでもあります。

 

★皆さんは、「どこの山にお金を投資したいのか」という選択をできる目をもっていくことが、実は地域の林業を支える一つの手法になりえると思います。林業というのは、木を買っていただく皆さんがいないと成り立ちません。

今の時代では、木を伐ることだけが林業ではなく、むしろ、木を伐ることは林業を考える上ではさほど重要ではないですね。

 

★キコリからは、木の選択肢を、使い方なども一緒に、提案をしていかなければなりません。

きっと難しいことなので、最初はお互いシンプルでいいと思っています。

 

 

人間ですから、素人でもプロ目線でも「なんか良い森」「なんかダメ(嫌)な森」という感覚がまずあると思います。

 

最初は根拠はいらない、感覚からでいいと思います。

なんかいい森からの木を使う。それってなんか良いねって。それだけ。

ここでいう、良い悪いはそれぞれ人の感覚です。正解も不正解もありません。

 

 

★1)なんか良い森をまず見せていくことが、きこり側のやること。

★2)消費者は、それをまず見る側から(現地でも写真でも)。考える余裕があれば考えてもいいと思う。

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 ↑写真は里山部の森(家具林)の様子。

 

実践してよくよく考えていくと、ある程度の山に対して人間がすべきことの正解はでてきますが、それはずっとずっと後の気づき。

 

だから★1と★2が少しずつ地域で出来てくるといいなって思ってます。

そこをどうやって働きかけていくのか、それは僕もわかりませんが、僕なりに活動はしています。

早くこういう木こりが珍しくない時代になってほしいです。世界に誇れる木との使い方ができる地域になれば、デンマークとかスイスとか、ドイツとか、自然と市民の付き合い方に対して道民が、うらやましがらずにすみますんで笑

 

とりあえず今回はこの辺で。

 

今後、持論シリーズで書いていきたいことリスト↓

投げ出す可能性も多いにありますが笑 んで順不同。

 

  • 木を育てるという意識の中身
    →寿命、健康、空間、売り先、売る部位、使い手、伐る技術、伐らない思想・・・
  • 木を伐る(使う)スピードと木が育つスピード
    →約4haという極めて小さな面積でやってみて実感したこと。
  • 生物多様性の維持と、歴史的文化価値と、この林業との関係
    →1700種の動植物、かつ北海道最大級のカタクリ群落、アイヌの聖地である山での林業はやるべきなのか。コウモリの研究者が木こりをやる意味。
  • 地域に育った木の強み。風土の染み込み。輸送エネルギーの消費量。
  • 必要最小限の道具でやるメリット・デメリット。
    チェンソー、軽トラ、漢気
  • 山を壊さない。山が壊れるってどういうこと。
  • キコリから職人へ、顔の見える、山の見える丸太と想いの受け渡し。
  • 地域内での山と木の選択。
    →木ならなんでもいいという考えは卒業しよう。
  • 実は皆さんも、意識ひとつで伐らないきこりなんです。
  • 地域で山・森遊びは必要か。
    →子どもとの関係、地域住民との関係。メリット・デメリット。できない環境。
  • 自分が山を持つべきなのか。続けていくべきなのか。

 

 

最後に最新のYouTubeはこちら。里山部での冬キャン例↓

https://www.youtube.com/watch?v=h05uyQVOruA&t=313s

この、白樺を想って。

しみずです

 

僕の白樺が東川町の家の一部になりました。

素晴らしく思います。下図の白樺です。

そして、これ以上の木の使い方はないと自負しております。

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僕は、心の底から自信をもっておすすめしてくれることに感激します。

「これ、ここで育った〇〇でさ、自然農法で体に良くて・・・」とか、「ここの海で獲れた〇〇は絶対うまい。俺が言うんだから間違いない。あはは!」

みたいな、一次産業の人特有の、なんというか、活気のある、理論よりもその人が生きてきた人生の証の味覚化、視覚化が、その商品を熱く語るからだ。

だから、そのヒトが生きて、経験したことが、染みついたできた「究極のオンリーワン」の逸品が大好きだ。

 

なんで?を問うより、試して実感したくなるこの感覚。

その人のこだわりに、自分の感覚が真正面からぶつかる瞬間が好きとも言える。

 

そしてそれは、ヒトという正解を持ちたくないという複雑な心理状況をもつ生物に対して、「この〇〇はここだ」という自身の思い出ランキングのどこかに刻まれる。

 

 

 

こういうのって、「食」に多い。

味覚が、しびれるから。

味覚が、直感を刺激してくれるから。

 

 

木ってどうだろう。

厳密にいうと、直接食べられる1次産業の恵みではない。

だからこそ、「この木が良い」って、消費者に伝える方法は、遠回りになる。

 

味覚以外の感覚。

でも木って、味覚以外でも伝わりにくい。

強いて、強いていうなら、第六感的なものだろうか。

それほど人と木の関わりは「身近で遠い」。

 

「この木、どこからきたのかな」

「本当に伐っていい(使っていい)木なのかな」

「伐られた山はどうなったのかな」

「ちゃんと子どもたちの仕事の場として、生きる場として、地域の誇れる自然として残されているのかな。」

って思って使っている人はどれだけいるかな。

こんな風に思う人が増えてきたら、日本の林業ってどう変わるのかな。すごい楽しみになる。つまり、その木に対してお金を支払う人の意識が変われば、きっと林業も変わる。 

 

 

薪が注目されている今でも、正直、知らない人には薪を使ってほしくない。

一体どれだけ素人が”山火事”を起こしているのか。

木って育つスピードよりも、伐る使うスピードの方がはるかに速いから、今を生きる僕らは、昔の大木があった時代にうらやましがってキコリをしている。

「いいなぁ。あんなでっかい木に会ってみたいなぁ。伐ったらどんなことにできるだろう」

そう思っているけど、生きている間には決して、出会えない生物(大木)だ。

 薪が燃えるたび、僕自身の薪だとしても、本当に燃やしてよかったのか、常に問いかけている。炎を見ても、素直に喜べなくなる重症化だ。

伐らない木こりを続けていくとこんな重症になるものか笑

 

 

・・・僕の木を使うことがなぜいいか。

直感ではわかりにくいと思うから、ちゃんと説明していこうと思う。

でもそれは、次回にしておく。

今日は書きすぎた。

冬サバイバル 続き+余談

しみずです。

つづきです。今回で最後です。火の話だけですが笑

 

 

★僕は火を、2種類にわけて使っています。

その時の自分のおかれた状態、心身の様子をみてわけてます。

一つは「焚火(下図左)」、もう一つは、「アペフチカムイ(下図右)」です。

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2017年11月に二風谷にいき、チセでとまり、アイヌと山との想いに触れました。

あの時の火・アペフチが忘れられず、一人で静かにやるときはアペフチカムイを意識してやっています。その時のブログ↓

http://satoyamabu.hatenablog.com/entry/2017/11/06/183627

http://satoyamabu.hatenablog.com/entry/2017/11/07/222710

その中で、アイヌ文化の中でも比較的古いときは、玄関から囲炉裏(という表現でいいのだろうか)に丸太を直接に入れて燃やしていたと聞きました。

とにかく特徴的なのは、「丸太のまま燃やす」。

つまり斧とか鉈で割る加工をしないということですね。「釘などの金属も入ってはいけない」ようで、廃材などを燃やす際にはそこを気を付けているようです。

 

 

 

★サバイバルにもいろいろと目的(遭難時の山からの脱出等)があります。

今回は「大規模停電時」に、冬山で耐えうることが目的です。

なので、水・寝床が準備できた以上、もうすることがありません。あとは、腹が減らないよに、極力、エネルギーを使わず、無を過ごすこと。

・・・だいぶ火力ありすぎた。

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本家アペフチはこれくらいですから↓

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と、まぁ、固定されたエリアで、サバイバルな状況が数日続くなら、近くの石狩川や、この山にも「罠」を作って仕掛けるなどしたほうがいいでしょうね。

翌朝、かかった魚や獣をいただくためです。

(今やりたいのは、山から始まる釣りです。竿も糸も、針も餌も全部、山から現地調達するという。)

 

 

話がそれました。

この丸太ごと燃やすやり方にはメリットがあります。神聖な気持ちになれる以外に、

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火が消えそうなときに、焚き木を継ぎ足す手間がはぶけます。

小口(切り口)の方が灰になれば、枝先の方からまた押し込めばいいのです。

なので、寝ながら火の調整ができます。(写真は6月の江丹別サバイバル時)

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あとは、2,3mくらい長いまま持ってきますので、長時間燃やすことができます。

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デメリットとしては、最初が火が付くまで時間がかかるということです。

山に落ちている枝ですから、よく乾燥している枝を見極めることが大事です。

しかし、雨天時や、乾燥している枝がなく、難しい場合は、「着火剤」をふんだんに使うことで、ある程度の生木も燃えます。最初の火力が肝心ということですね。

 

山の中での着火剤はこの「ガンビ」、「シタッ」・・・いわゆる白樺の樹皮です。

家具にも使われるので、最近燃やすのが持ったいないと思ってますが笑

松明や、着火剤といったエネルギー利用に適しております。

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夜間は懐中電灯ではなく、このシタッを棒に巻き付けてあるけば、量にもよりますが40秒から1分ほど燃えております。

僕のツイッターで松明動画あります。江丹別サバイバル時の松明の様子↓

https://twitter.com/Free_Lumberjack/status/1137321228266496000

 

樹皮は、倒木からはぎ取ってください。

立木(生きている立ってる木)からは剥がさないようにお願いします。

木は死にはしませんが、剥がした部分が黒く乾燥して、見すぼらしい白樺になってしまいます。僕は樹皮を使うなら、全部倒して材も、樹皮も枝も丸ごと使うということを心がけてます。樹皮だけつかってあとは知らん。は、無責任ですから。

 

さて、最後は寝るだけでしたが、流石に僕でも無理でした。寒すぎた笑

なので、ナンガの35000円くらいした冬用の寝袋を使用して寝ました。

この冬用シュラフが有能ですね。ほんとに。

まぁこいつがあればどこでも寝れるということになっちゃいます。

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★余談ですが。

今回の晩御飯は、狩猟はしておりませんので、市販の鶏肉でした。

僕は料理と味にはこだわりがないので、ほとんどにおいて、「焼く→食う」なんです。

最近、比布駅のクリスマスツリーを設置したときにいただいた、調味料を試してみました。焼いた鶏肉にかけただけで、超贅沢なメシになりました笑おいしかった。アウトドア調味料にアリですよ!

比布の方が言ってましたが、「シマヘビから牛タンまで」合う調味料だと思います笑

今度は実際にシマヘビにかけてみましょうね。

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さらに余談。

災害時は衛生面にも気をつけたいですよね。

大丈夫です。

山に風呂できました。薪で沸かしたお湯だからなのか、下から体に火の遠赤外があたるからなのか、とにかく薪風呂のポカポカ、持続間は下界の風呂とは比べ物になりません。なまらあったまります。

 

今探しているのは、山に直接流しても大丈夫な成分の石鹸やシャンプーですね。こんなのあるのかなぁ。

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ということで、サバイバルもできるし、森林浴もできるし、下界がやばいときは山の方が快適でした!という内容でした!

ではまたー!

 

YouTubeもやってます。最近の動画はこちら↓「自伐しながらコウモリの話」

https://www.youtube.com/watch?v=V0Vsni2fErI&t=100s

冬キャンというか、冬のサバイバル その①

しみずです。

 

ブログは、ご無沙汰でした。

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今月、25,26日は島牧村に出向き講演をさせていただきます。島牧村は、僕がサバイバル、自然を愛するようになったきっかけの村です。15年ぶりくらいに行く島牧村に、自分がどうチカラになれるか、楽しみです。海を意識した山つくりは欠かせない村ですからね。

 

 

さて、里山部は雪がすこーーーしずつ積もってきました。

冬キャンするにはまだ早いのですが、冬山で寝たい衝動を抑えきれず、先日、サバイバルしてきました。やりたい方はいつでも僕の山つかってどうぞ。

 

なので今回それを紹介しちゃいます。

どうです。うずうずするでしょ。

こんな天候に遭遇したらもう、「あ、ダメだ、家帰りたくない、山泊まろう」ってなりませんか。僕は超絶なります。でも嫁にアポなしサバイバルは迷惑かかるので、この日は我慢して帰宅。翌日の朝からサバイバルしてくる旨を丁重にお伝えして、入山。

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吹雪はテンションあがる

装備はこちら+寝袋。かつ右手(利き手)が怪我のため使用不能という左手縛りのサバイバル。ドMです。

ミステリーランチ30Lのバッグで余裕で入る装備です。夏も冬も変わらない。

ちなみにテントは無し!!ねぐらは、現地調達、現地作成。

余談ですが、ミステリーランチのリュックは最高ですね。僕みたいな荒々しい林業についてくるリュックです。間違いないですよ。お高いだけあります。※防水は皆無。

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今回のサバイバルは、「冬に大規模停電が起きたら」という想定でやりました。

下界にいるよりも、山にいるほうが快適に災害を乗り越えられることを証明してやろうという気持ちもありました。

ですから、断水・停電・無配給がおきたシミュレーションです。

 

北海道でね。ありましたよね。というか、ここ毎年のように大規模な災害が起きてます。起きるたび思います。「国には任せてられねぇ。自分で生き抜くしかねぇ。」と。あの状況下で、誰かに頼っていられません。自分で生きるしかないんです。

だから、今回はそういう意識をしました。

 

 

僕はサバイバルをするときの優先順位は、

水>寝床>火>食料です。水さえあれば、とりあえず1,2日は耐えられる。耐えられるときに、寝床の調達、火と食料の確保をやってしまえという考えです。

 

とにかく最初は沢(さわ)を見つけます。下図にあるように「谷」と書いてある等高線の形状(※画像のリンク先はこちらhttp://geographico.blog.fc2.com/blog-entry-162.html)は窪地になっており、雨水や地下水が流れやすい場所となっています。

 

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 すると、こうして、水にありつけるわけです。もう断水怖くないですね。これでほぼ楽に生きられます。災害時や、サバイバル時に、腹痛は嫌ですからね。

「浄水」して「10分ほど煮沸」すれば、安心して飲めます。

今はこんな携帯浄水器があります。便利です。

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お次は寝床です。

沢水のそばは、様々な野生生物が利用します。熊とか狐とか鹿とか狸とか・・・。

なので、水場から遠すぎず、近すぎずな距離感に寝床を作る必要があります。

今回はこの倒木(根むくれ)を家にすることにしました。

このまま寝ると非常に冷たいので、、、。

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ヒグマのお知恵を拝借して、ササを敷くことにしました。

右手が使えないため、右手用の鉈を左手で振るい、1本1本ササを伐ってリュックにつめ、運ぶという作業を繰り返し1時間ほど。。。

「あぁ、俺いまから冬眠すんだな」

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やっている最中、雪もふってきました。

屋根が必要です。

装備品にあんなにロープ詰め込んできたのに、右手が使えず縛れない!!!ということに今更気づき当初の屋根つくりから作戦を変更せざるを得なくなりました。

 

結局のところ。

「幹に枝を立てかけるしかないやん!」

となり、ひたすら枝を拾い集めてそれっぽくしました。

通風性120%かつ、たいして雪も防げない。気持ちでカバーするしかない屋根ができました。

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今回は、狩猟はしませんでしたが、緊急事態は「イケる!」感満載の狩猟場所ができました。リス、ウサギ、ネズミ、食ってみてぇ。

今回はその、哺乳類に関して捕獲申請とってませんから、市販の鶏肉を買いました。ここだけサバイバル例外ですな。仕方なしです。

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でもおやつの、よくわからん芋虫は食ってました。

だいたい芋虫は甘くてうまい。白樺が朽ちる時に発生するサルノコシカケという硬いキノコに2,3mmの穴が開いていたら虫が入っている証拠です。

サルノコシカケを割ると中から、おいしそうな芋虫が出てきます。

何こいつ?よくわからんけど、焼けばだいたいイケる法則にのっとり焼いて食いました。多少の腹痛は覚悟します。

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まぁこんな感じで、芋虫くいながら、左手で枝を引っ張って立てかける作業を何時間やったんだ。暗くなるまでずっとやってました。

左手だけだと、作業スピードとか、効率が、通常の1/5ですわ。くっそ遅い。

 

 

・・・・続く。

白樺プロジェクト 里山部の視点から。ADWご覧の方へ、キコリの補足説明版です。

しみずです。

 

 

2019年6月19日から旭川デザインウィーク(以下ADW)という、いわば家具のお祭りが旭川デザインセンターで開催されております(23日まで)。多数の家具職人さんが自慢の家具を公開しております。 無料ですので、是非足を運んでいただきたい。

 

 

里山部では、『里山から家具をつくる!』ということで、SKYプロジェクトを始動させたのが、2017年9月7日。普通のミズナラを伐採し、その後、旭川大学図書館に机の脚として生まれ変わりました。大きな木をみんなで取り合うのではなくて、身近な木から考えるモノづくりという視点から、旭川材できちんと旭川の家具ができました。メディアの協力もあり、結構注目されたと思います。

 

あの活動を通して、里山の木のポテンシャルを改めて確信。無駄にしてんなよ!ということでかなり熱く走らせていただきました。

そうして、さらに多方面の方々(キコリ、家具職人、クラフト職人、建築家、デザイナー、大学、学生、行政関係などなど)を巻き込みグレードアップした『白樺プロジェクト』が立ち上がりました。

 

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旭川デザインセンターでは、『白樺プロジェクト』の成果発表の場になっております。

後ろのスツールみて、しびれて帰ってください笑

さぁ、その白樺プロジェクトの素晴らしい点を紹介していきます。

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1、山主がわかる。キコリがわかる。

 この木、どこの木。伐られた山はその後どうなったの。誰が伐ったの。すべてわかる木材です。そしてその後の山に遊びに行けるという。

 いわば、地域認証・キコリ認証の木材です。

 

 地域の木が伐られるということは、多少なりともキコリ一人の問題・責任ではありません。

地域の景観が変わりますし(はげ山にされたらみすぼらしくなりますね)、その山で生きる生物たちにも多少なりとも変化を及ぼします。

 ですので、生き物の適応力を超えないように、木々の成長するスピードを超えないように伐って、下界に木を届ける必要が今の時代にはとても大切です。

 これって、言葉にしたら当たり前のように聞こえますが、実践できているところって少ないです。

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FSC認証の材が出されている山。過間伐と作業道の崩壊した山。中嶋健造氏FBより。

 

 様々な研究者や、林業者がいますが、『生物研究者の属性をもつキコリ』っていないと思います。

 僕は今コウモリ研究所をやっております。『コウモリの保護を訴えるため、林業を知り。この林業ではアカン。と思って、自分でコウモリも山も保全できつつ、暮らしに木を提供できるスタイルを確立しないといけない』という使命感から今の里山部をやりはじめました。

 木が無いと仕事がない林業に、今はどんどん木を伐りまくって自分たちの首をしめ、次世代には価値が薄い山林しか残らないのではないかと危惧しております。

 

 こうしないために、ちゃんと山に向き合えるキコリが、旭川にはぽつんといます。

 そういう、キコリが、家具材になる木を提供できるというのは、未来にちゃんと責任をもてるということです。

消費者の皆さんにはぜひ、小さい林業をやっている、『キコリ』から木材を選択していただきたいです。この林業ってやっぱり、小規模だからこそできる技でもあるのかなと。

 

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ADWで展示してある白樺スツールが生まれた森。キコリの間違いない環境保全がされている山。

また、自分の木が使われるということは、山主にとって、自分の山の価値が再認識できます。だいたい今の山主は、自分の山なんてどうでもいい。価値がない、もう何もできないと思われているでしょうから。

 皆伐するくらいなら、僕や、やる気のある若手に、託してほしいです。

こんかいADW白樺プロジェクトブースにあるスツールは、写真にある僕の2代目林家、風太の白樺でやりました。5歳(保育園年長)で2代目山主を意識しております。彼は今、きちんと山の価値を5歳児なりの理解をしています。

 地域の自然環境を『所持』しているわけですから、もっと山主は責任をもっていただきたいと感じるとともに、新しい山との付き合い方ができるという、選択肢の幅があることを知っていただきたい。流浪のキコリが生まれたのですから。

 

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諦めて、こうなる前に、何かアクション起こしたい。もったない。

 

 

2、傷つけない伐倒術。残すほど価値ある山へ。

 大体の人に驚かれるのですが、僕はチェンソーと軽トラ(冬はモービル)のみを使って山の仕事をしております。※道をつけるときだけ小型のユンボを使います。

 木をきりだす時はほとんど人力。それでいいんです。自分の力が自然に及ぶか及ばないか、その木を前にして判断しています。ダメなら無理しないというスタイルです。

 このスタイルは、山を痛めません。重機を入れないので、地面に大きな跡はつきませんし、他の木にぶつけて傷をつけることもありません。

 

 そして伐倒術。僕は正確な伐倒ができるのが自慢です。他の木にぶつけることなく、樹皮がきれいなまま、倒せます。状況によってはわざとかけて、そこからゆっくり倒すなど、欲しい方の材の取り方にできるだけ対応した伐倒技術があります。

 白樺スツールの樹皮が綺麗なままなのは、この伐採技術があるからです!

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スツールになった白樺

 こうした意識と技術から、残された山は、とてもナチュラルな状態で維持されます。とてもここで『林の業』をやっているとは思えないくらい、いわば『環境保全見える化』ができている山が生まれます。

 

余談ですが、僕の山の作り方に、『間伐』という言葉はありません。一切間伐をしません。

 細い木が欲しい方もいれば大きい木、曲がった木、変なこぶができている木、消費者(職人さん)はいろんな姿の木をほしがっています。多様な対応ができるため、僕の山に『劣勢木』はありません。全部が全部、優良木です。

 そして残せば少しずつですが太っていき、さらに材積を蓄えてくれます。

 今伐っている場合ではないし、僕には風太に引き継ぐ、そして300年後に完成するという盛大なビジョンがあります。

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冬はモービルで山から出します。

 

3、地域資源の活かし方から、里山を見直す。

 今伐っている場合ではない。のですが、それは寿命が長い木に対してです(ミズナラとかイタヤカエデとか数百年生きる木に対して)。

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千歳キウス周堤墓群にて。素敵なミズナラ林。

 北海道は例外はありますが、多くの地域で見られる白樺がよく生えます。

白樺は、何らかの理由で更地となった場所に、いち早く生えて山を再生する『かさぶた』のような役割がある木です。また、木材以外にも、多様な用途があります(葉、樹皮、樹液など)。

 この白樺は、寿命がだいたい人と同じくらいで、70年~100年くらいです。僕の山では70年すぎると、弱っている木は、芯が腐って幹の中心部に穴が空いてきます。

 まぁ、白樺は、どういうわけか価値がないとされており、バタバタ倒れていても放置されていたりします。

 キコリとしては、非常にもったないんです。

 

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穴が空き。70年。白樺。

 

 

僕なりに考えている、北海道における白樺の価値。

 a 北海道の森という印象が強く、観光に活かせる景観。

 b 枝、幹、樹液、樹皮などほとんどすべて使える。

   =多様な利用目的が、多様な人との繋がりを生み出す。

 c 初期投資0の森(自然に生えてきた場合が多い。※植樹した白樺は別です)

 d 約70年サイクルで伐期がくる。

   自然の寿命に即した環境負荷の少ない林産物の生産ができる。

 

 とくに『d』が、伐らないキコリに伐らせる理由です。キコリとして、腐らせては負けなんです。木の体力や状況を見極めて、最大限に成長した白樺を伐って活かしていくというチャンスが生まれました。これに関しては、『伐る場合』なんです。なので、一緒に買っていただける人も探します。

 もちろん生物多様性を意識した上で、白樺の枯死木は大切です。ですからバランスは必要です。里山部では、作業上危険がない限りは、腐れきった白樺は、きちんと残しております。

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 こうして考えると、放置されて勝手に生えてきた白樺は、山主にとってチャンスです。地域に活かしていきましょう。しかし、皆伐はダメです。白樺が生えて、じっくり成長している最中に他の樹種の種がすくすくと育ち、白樺が終わった頃には別な木々が生える山になっておりますので、雑なことしてはダメです。山全体とその後まで考えて、活かしきってください。皆伐はダメです。

 

 

4、白樺プロジェクト

 木を使う時、特にほとんどが、上流(山・キコリの存在)を無視している、いや違う。上流側の情報が下界にこない、下界も知ろうとしない・・・これがまだ、1次産業と2次産業を繋ぐ上での壁になっていると思う今の北海道。そこを透明化して一体となって進んでいるのが最大の特徴です。

 

 いろんな木工イベントでも『板』から始まることが多いのですが、普通は『山』から始まるのが当たり前です。僕のイベントは絶対山から始まるのはそこに重点を置いているからです。山に入って木を伐って、、、だから大切に使える。何かを生み出したくなるわけです。

鮭の切り身が海で泳いでいる訳ないでしょうが、ということです。切り身から始まった場合は、せめてその海の様子とか、漁師の顔とか想いとかも紹介してほしいわけですよ。

 

 このプロジェクトの大きな特徴は、家具職人さんの活かす技はもちろんのことですが、こうした上流側の人とタッグを組んで進めてきたことが非常に大きなポイントです。

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白樺に集まる多様な人たち。回数を重ねるたびに人が増えていく会議。面白い。

 さらに面白いのは、研究林とか、町有林とか、そういう属性の山ではなく、『民有林(私有林)』を使って進めてきたことも重要なひとつ。

 これは革命的だと思っています。『身近な木』を対象にしているわけですから、誰でも、どこの地域できるような状況を意識してきました。旭川は森林面積全体の1/4である約1万haが民有林、そのうち約5千haが広葉樹林ですから、僕のモデルは、旭川の私有林5千haの方たちには参考になると思います。※白樺じゃなくても。

 

 とはいっても、こういったプロジェクトには、付加価値をつけるため、必ず材の出口側の人間が必要不可欠です。それは職人さんだったり、デザイナーさんだったり、研究者だったり・・・。だからキコリだけではできないプロジェクトです。

 でも!

 民有林・キコリという属性が無かったら、ここまで、意味のある時代にあったプロジェクトにはならなかったと思っています。山主の皆さん、今一度、木、1本から、きちんと見直してみてはいかがでしょうか。僕は全部伐ってる場合では無いと思います。

 

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木と暮らしの工房、鳥羽山さん。    樹凛工房、杉達さんの工房にて。

 

 

5,消費者のみなさまへ

 森は大切。でも護り方、使い方、何をしたらいいかわからない。

こうして、新しい木材、家具選びの選択が旭川ではできるようになりました。是非正真正銘の山(森)から始まる家具づくりを応援してください。

小さい林業があるってことを知っていただきたい。

 まずは、『この木はどこの木』という意識をしていただけたら。そしてその世界にハマっていただいたら、地域で頑張る『推しキコリ』から買うようにしていただきたい笑

 本当は、伐られたあとの山がどうなっているのか、きちんと見えた方がいいのですが、里山部以外でそういう林業地をオープンにしている場所ってあまりないですからね。

 

 『推しキコリ』×『推し森の木』×『推し職人』の、全部好きな人たちからの家具づくりなんていうのも、可能になったという訳ですね笑

 こうした、本来当たり前の山との付き合い方を持続させていくための意識変化が大切だと思っております。

 いつも言ってますが、キコリと二人三脚が必要です。

キコリ側も、皆さんに選択していただけるよう、さらに精進していく必要があります。

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いつもお世話になっている木工職人・木の金メダリスト、原さん。

 

6、最後に

 短い時間で、それぞれの立場の方が情熱をもって進めて、今回ADWでお披露目することになった白樺プロジェクト。関係者の皆様とご一緒できたことを誇りに思います。

とくに、木と暮らしの工房の鳥羽山さん、樹凛工房の杉達さん。里山部の白樺を使っていただきありがとうございます。デザインで悩んでいたところから、実際に丸太が板になり脚になり・・・と加工されていくところを目の当たりにして、こんなに入り口から、人の愛を受けとり幸せそうに加工されていった白樺は見たことないなと感じていました。しかし、非常にご苦労されたと思います。ありがとうございます。

 

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里山部はやっとシーズン1、終了しました!3年かかったシーズン1!

 僕は昔、木工職人の友人が『家具に使われる木は“森”から来て欲しいな』という話をしたことがずっと気になっていました。僕は家具材って、森ではなく“山”から来ていることがほとんどだと思ったからです。

※これは僕個人の勝手なイメージですが、山=林業地。山主の財布が豊かになる場。森=人の心が豊かになる、憩いの場。

 でも今回、里山部のような山でも森でもある木から、ちゃんと家具ができたこと。これに対して、『森から家具材を届けることができた』といえるようになりました。

 里山部は、一つのゴールをしました。だからシーズン1終了です。

 

 

これから、道つけもできるようになり、さらに加速した新しい風を吹かせるシーズン2突入です。白樺プロジェクトも加速させていきます。

 シーズン2は、もっと消費者の意識向上のために、山・森に来て頂きたいと考えています。そのために、里山部では近々ぬるいプロジェクトを開始させます。

西川市長を山に呼ばないとなぁ笑

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現在は、江丹別の蒼い森プロジェクト始動中。道つけ頑張ってます!