千葉シリーズ3 山の様子。絶望から希望が見いだせるか。
しみずです。
★シリーズ2は服装でした。最近パタゴニアのプロセールスに登録されました(やった!)ので、パタゴニアも視野に入れていきたいですね。パタゴニアはなんといっても自伐に助成していただいたのと、フェアトレードや環境に配慮したモノづくりを全面的に出しているのが、僕の木を使う上での木材デューディリジェンスに近いものを感じます。こちらもこのシリーズ内でどこかで紹介します。
★今回は、僕が見た山の現状を紹介していきます。
社会福祉法人 福祉楽団さんの事業内にある、栗源第一薪炭供給所の事業の一環でした。
その若手チームと、われらが岡橋先生(元、清光林業、現、アルベロクォーレ㈱、奈良県で200年以上の大きな杉を育成、日本を誇る林業家、僕が森林作業道のノウハウを教わっている大先生です)
んで、僕が寝泊まりしていたのは、写真左側にあるおしゃれな建物。
最初にみた山がこちら↓でした。
最初の印象は、「うわぁ、めっちゃ伐りすぎてんなぁ」でした。
でもすぐこうなった原因は、伐りすぎではなく「台風19号の被害」だということがわかりました。
★山に入る前に、風はどちら側から受けることが多いのかを、林縁部の空間と木の傾きからざっくりと判断します。
風が当たる側は特に人工林なら、木を3列は残して防風帯を作っておきたいところです。これは僕のフィールドでの経験から、強い防風帯を作ると林内は安泰、防風帯の木々はちょっとずつしか成長できないのがデメリットですが、徐々に、わずかに間引いていけばそんなことありません。しかし、ここではすでに林縁部がガツンとやられていましたので、そうはいかず。
中に入ると、「おうふ・・・」とため息みたいなやつしかでない。
実物はめっちゃでかいの。北海道のアベレージを超えているよね、向こうの杉とかヒノキとかサワラは。60㎝以上で樹高が25m~30m近いと、北海道のマツがくそ可愛く見えますよ。こういった、キコリを殺しにくるド迫力ある木々がまずは行く手を遮るんです。
風倒木処理は僕の得意技でもあるんですが、戦意喪失しましたよね(笑)
確かに最初は絶望の林業でした。
どういう風に山から、希望を見出していくか。そこが木こりに大切で、必要な目線でもあります。木が伐れるだけじゃなく、道を作れるだけじゃなく、木の生と死に最後まで責任をもつ、無駄にしない、その目線が必要です。
お手伝いいただいた栗原事業部の照井さんや石倉さんは福祉事業の傍ら、きちんと山に対してそうした思考でいたことが、今回希望を見出すことができた最大のポイントだと思っております。やっぱり「山にどんな人が入るのか」かは大事!人次第で山はどうにでもなってしまいます。
★見ていくと、腐朽しすぎた材で商品にはなりにくい丸太のほかに、きちんと薪として利用できるいい材質の丸太も結構あることがわかりました。
となると、風倒木を処理しながら、作業道を新設して、丸太を回収出来たらまたこの山はよみがえり、価値を生み出すものになる!という希望が湧いてきました。
自伐は絶望の林業の対案である希望の林業と中嶋健造さんもおっしゃってましたが、そう思います。
そして幸いにここでは、薪を作る体制ができていること!
★北海道の自伐は薪だ。みたいな雰囲気になってますが、確かに最初は有効です。薪と一緒に瞬間的に火力(財力)が高まって、次への展開が見出せます。
北海道ではずっと薪での自伐は厳しいと思っています。それは、樹が太ってきたらもっと価値のある家具材やクラフト材等の耐久性のある使い方へ転換していく方が、山にとっても人にとっても良いからですね。それと逆行するように、今世間ではガンガン木を使いまくってますね。薪ストーブユーザーも増えてます。林業の基盤ができていないのに使うことばかり先行していたら、大きな価値ある木が育ちませんし、細い木ばかりだす事業は赤字しかないので、どんどんと自分たちで首を絞めていっていると感じています。
★とにかく、山の入り口から木材の出口までまずは1本の道筋が通っていることは非常に強みになります。となれば、これをいかに効率と環境保全を兼ねてまわしていくか。
ここで希望が持てれば、山の惨状に精神を削られないで済みます。
さらに希望となったのは、ザファームさんの存在。
こちら、WEBサイトをご覧になってください。素敵なキャンプ場で、東京からのお客さんもよくいらっしゃるとか。そうかここは千葉、東京射程内です!!強みになります。
僕らが作業しているときにGlamping Saunaというサウナ企画まで始まりまして、ひゃっほー状態です。実はザファームさんで、サウナ担当している女性と、最後、僕らが手入れした山で「竹を使った日帰りキャンプ」を行いました。最高でした。
薪の生産する体制と、薪を使う施設がこんなにも近くにある、それも、以前から取引先となっていて、薪束をこちら側から出しているとのこと。
台風被害でその生涯を終えた木材が、キャンパーの楽しみになる。木は燃えてなくなりますが、人々の思い出には残ります。
★こうした自伐を行う上で、トータル的な山の利活用の方法を考える時に大事なのは「地域で木を使っている環境」がどうなっているのかを調べる、なければ自分でコミュニティを作っていく等、山の管理と一緒に進行していくことができれば強みになりますね。
★土質はどうかというと。あまり詳しく説明はできませんが、
表土は真っ黒で、一般的にどこにでもある水分を含むとずっとヌタァって締まらないやつ。
その下は赤茶色の土がでてきました。こちらを天地返ししたのち、キャタピラで転圧するとしっかりと固まりました。しかし、雨が降ると、むちゃくちゃ足が滑る状態になりました。北海道でいうと、「濡れた氷の上を歩く滑り」と似ていて、チェンソーもっている時に転ぶ恐怖があります。雨の日はやめた方がいいですね。
そんで場所によっては海岸の砂みたいな色と質感、「昔海だったころの砂」ではないかと思います。こいつは転圧してもあんまり固まりませんので、混ぜてやりました。
あと礫がでません。そこはきつかった。
とにかく山にもよりますが、表面に礫が敷けない場合は雨天時もしくは、雨天後の作業道に重機や車で入ることはおススメしません。道が壊れますね。
ここでは1月ほとんど天候に恵まれ晴れておりましたが、雨が降ったら3日くらいは濡れたまんまでした。
★天気予報をみて、晴れている日に木材をトラック等で搬出し、翌日が雨なら土場でおとなしく加工作業をしていた方が無難ですし、そういうスタイルで僕もやっております。せっかく作った道が壊れると補修する作業に時間と費用が取られてしまいますから、なるべく道をいたわる必要があります。
今回はとりあえずこんなところで。
以下はおまけです。
現場に向かう際の道路に倒れそうな木を見つけて撮影した翌日、徐々に倒れてきていました。
香取市の担当課の方、こちら処理できましたか。
グーグルマップでこちらの緯度経度(35.79951476816828, 140.46697664268376)を貼り付けて検索してください。グーグルマップの撮影日は2018年9月の様子のようですね。
おいておくと怖いっす。でも電線にかかっていて僕じゃ手出しできないやつでした。感電もめっちゃ怖いよ。
2021年1月16日↓ 1月17日↓