里山部-satoyama-活動(東鷹栖)

小さな森の山主が始めた個人事業ブログ

千葉シリーズ4 環境保全と作業道

しみずきこりです。

 

 最近、見様見真似な危ない作業道を作っている人を見る機会がありまして。つい。

 

道は、山に傷をつける行為です。

傷をつけたら、そこを修復するのは難しいので、「山に道をつけるぞ」と思い立ったら、きちんと、修行することをお勧めします。

僕もまだ完璧にはできません。山の状況や土質、水流が違いそれぞれ、どうやったらうまくいくのかって難しい世界です。

 

しかし、幸い今は、自伐林業で岡橋先生や橋本先生が全国で活躍されております。その機会をきちんと得てやってください。すごいチャンスです。僕らが技術をくみとって、次世代につないでいく時代です。山は代を重ねるたび、価値だけでなく、地域にも必要とされ、社会に、世界に、地球に、だんだんとそうやって必要とされていきます。

雑にやると、山がみじめです。

 

大事なのは手法よりも、線形ですが、線形はまた別な機会で。 

 

 

文章では、作業道のノウハウを伝えられるはずがないので、とりあえず素敵なイラストでふわっと紹介します。

まず僕は、ここがわからなかった。

イラストを見てください。

通したい場所は赤色の間なのに、なぜか緑の範囲を施工する。

 

★イラストの説明

山=山側。谷=谷側。オレンジの線=木を示す。赤い線=通したい場所。緑の線=土をいじる、転圧する範囲。

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よくわかるイラスト。上空からみた図

 山の傾斜によって変わるんでこれは、ざっくりもざっくりなイメージです。

このイラストでは、赤い線の部分だけ土をいじってもダメよってことを伝えたいのです。

傾斜がある場合は谷側に崩れて落ちます。谷側の路肩が弱いんです。

落ちないために、まずは「木a」に激突するように緑の線を掘削していきます。

詳細はがっつり省きますが、僕は最初このイメージが出来ていなかった。

「なんで岡橋先生は、まっすぐ行かないであっちにずれていくんだろう」と。

特にカーブの時は曲がりたい方向じゃなくて直進していきますから、「どこにカーブができてくるのか」が最初は不思議でした。

 

 

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よくわかるイラスト 断面図

つまりこれは、斜面がある時に黒く囲った場所がしっかりと固いかどうかが大切なんです。

おそらくこれが、素人が最初にイメージできない部分だと思います。

 

写真で何となく黒丸の路肩がわかるかな。

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上川町の山にて。路肩部分がわかると思います。最初はユンボ一台分路肩にいました。

これだけじゃ、よくわからないと思います。

つまり、結構複雑なんですよ。

簡単そうに見えても、コツがいる部分があります。

 

★作業道づくりは、やってみなきゃわからない部分がたくさんありますが、やる前の座学として、自伐の岡橋先生が出ているスペシャルな動画をご覧になってください。

 前編↓

https://www.youtube.com/watch?v=IFjZ7fWFJxY

後編↓

https://www.youtube.com/watch?v=YaZoBfZGq3I

 

★道をつける効果★

★様々な木材の搬出方法がありますが、僕は一番この「作業道を作ってから」山に入るスタイルが環境保全、、、とくに植生保護に役に立っています。つまり今の収穫で山がメタメタにならず、次世代に期待ができます。広葉樹林なら、なおさら、植えないで済む本当の持続しながら成長している山林を維持できます。

道の上だけ歩き、そこで作業をする分には、林床を痛めにくいのです。

冬はどこでもいけますが、モービルやユンボで入る時にも役に立ちます。

とにかく、後の山が大切に残るってことです。

 

★人間や馬、牛の足で踏まれた山の土は、かなり固く転圧され、植生に影響がでます。なんども踏まれていると、そこから何も生えなくなります。

身近なところでいうと、突哨山南側にある「木もれびの路」がそうです。あれは人間の足跡でできた遊歩道です。

 知り合いから「馬でやれば」って言われますが、道を作った以上、馬は必要がないのです。道があれば、全部やれちゃうから。馬の経費はわかりませんが、おそらく、チェンソーと軽トラの方が維持費などはかかりません。

馬はロマンはありますが、僕には山が小面積のこと、木をたくさん伐って売っていく気があまりないので、馬との作業する相性は今のところはないです。あと林内どこでも入れるのはメリットでもありますが、僕にとっては踏み跡の転圧デメリットの部分もあります。合う人と、山と、お金の考え方で、選択してみてください。

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こちらが木もれびの路。踏み後の影響力は高い。

 

★きっと「林業」で検索して出てくる画像は、地面がむき出しで、荒れているような写真が出てきます。本州の山だと、とりわけ茶色が多いですね。人工林での現場が主なので。

まぁ、それがが当たり前、もしくは仕方ないと思ってませんか。

 僕の手法では、林業地に無数にカタクリが咲き、ランなどの希少種含め低木もしっかりと生えています。毎年5月のゴールデンウイーク中に。

これは、山のバイタリティーを活かしています。林内に転圧をかけないってことです。

それには、しっかり道を活かすことと、「今はダメだ」と思ったら木に手を付けない、または季節をずらす等、森と生物を第一に考えることが大切なんです。

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丸太を置くことすら罪になる、そんな林床です。カタクリ潰すのは嫌です。

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春先の里山部。これが僕の林業です。

 

★失敗したら、向き合って次を考える。体当たりでやっていく必要もあります。山は複雑です。

僕らが学んで、少しでも山に軽傷で済ませていくことが必要です。

国の林道は・・・残念な結果が目立っていて。。。僕からはおススメできません。

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宮城県丸森町の道の崩壊写真。中嶋健造氏のFBより。

 

最後に、こちらも併せてご覧いただけたら。

今回はここらで。次回に続きます。

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